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行政手続きや用語に精通した通訳でスムーズに。
当初は本庁舎で2台のタブレットからサービスを始めましたが、
いまでは4台のタブレットを活用しています。
さらに他の庁舎などにも導入予定です。
自治体
住民課
子育て支援課
一宮市市長 中野 正康 氏
「愛知県は幸い景気がいいんですよね。三河のトヨタ、小牧の三菱などで、モノづくりの場に人手が不足していて、中国やベトナム、ブラジルからの人が増えています。
せっかく来てくださった方たちに、気持ちよく働いていただけるように、適切な行政サービスを提供したいと考えています」
こう中野市長が語るように、一宮市には労働者を中心に外国人居住者が増え続け、その対応が求められていました。
情報推進課の熊澤氏によれば
「以前は、お勤めの方だと会社の方が一緒にいらっしゃったり、英語以外の言語しか話せない場合には通訳できる人を連れてきてくださるようにお願いして一旦お帰りいただいたりする場面もありました」
しかし、そのままではいけない、外国人来庁者と円滑なコミュニケーションを図り、余分な時間をかけずに十分な対応ができるようにしなければいけないと感じていました。
「テレビ電話による通訳サービスの存在を知ったあと、インターネットでいろいろ探しました」
情報推進課の今井氏は偶然、他の自治体で導入された「テレビ電話による通訳サービス」の存在を知り、その後、調べていきました。
「テレビde通訳」も一度は候補に上がりましたが、定額制を希望している一宮市としては、従量制という価格体系がネックとなりました。
「しかし他社の見積もりは金額が高く、しかも導入から稼働までに時間もかかるというものでした」
たとえば他社の見積もりには「事前研修」という項目があり、今井氏は「市役所側スタッフの研修」かと思ったそうですが、それは通訳サービス側の通訳スタッフが行政用語などを学ぶ研修の費用でした。しかも、そのためにかなりの時間を要することがわかりました。
入札の準備を進めているときに、「テレビde通訳」から新たな自治体向け定額制プランが登場しました。サービス内容や価格体系なども柔軟に対応しての入札の結果、「テレビde通訳」の導入が決まりました。
(左)総務部 情報推進課 専任課長 今井 政敏 氏
(右)総務部 情報推進課 課長補佐 熊澤 宏昭 氏
「使う前は『触っていいのかな』とためらっていましたが、実際に使ってみたら、簡単でした」
市民健康部市民課 山田氏はこう言います。市民課は住民登録や戸籍登録、婚姻届けや離婚届の受付窓口です。
外国人の住民がいらっしゃって、言葉が通じにくいと感じたら、通訳の利用を提案して、その方にタブレットで使える言語を選んでいただきます。すると、すぐに通訳オペレーターがタブレットの向こう側に登場します。
「お客様の顔がオペレーターさんに見えるので、どのくらいわかっていらっしゃるのかを把握してもらえます。また、お客様もオペレーターさんの顔が見えるので、安心感があるようです」
多言語対応により母国語で話せることで話がきちんと伝わり、外国人住民の方は、ほっとした表情を見せます。
市民健康部市民課 山田 真優子 氏
「どうしても役所では難しい言葉が出てきてしまいます。特に子育て支援課でわたしが担当している手当関係は、もらえる条件など、説明が複雑です」
子育て支援課で手当関係を担当する河合氏は、身振り手振りでは伝えきれない業務をされています。
日本語が不得手で、最初の日本語での説明に「ん?」という顔をされていた方が、「テレビde通訳」で母国語で話された後は、理解されて、すっきりした顔で帰られるそうです。
こども部子育て支援課 河合 進 氏
「通訳オペレーターさんが行政の手続きなどを理解したうえで、最適な通訳をしてくれるので助かっています」情報推進課の今井氏はこう語ります。
印鑑登録について通訳をしてもらった時の話で、イタリア人が英語で「stamp」という言葉を使ったら、オペレーターが「それは印鑑登録に使われるsealではないでしょうか?」と聞いてきました。そしてstampとsealのちがいを説明されて、stampでは受付印を押すような話になってしまうことがわかりました。
機械的な翻訳とはちがう、人間が行う通訳ならではの良さです。
いまや引っ張りだこの「テレビde通訳」
今後は他の庁舎などにも増やします。
「昨年春の導入から半年で1台、今期はもう1台、『テレビde通訳』が使えるタブレットを増やしました。まもなく尾西庁舎や木曽川庁舎にも置く予定ですし、さらに要望があれば、市内の各施設に置いていきたいですね」
当初は市民課に1台、貸出用に情報推進課で1台保持していました。しかし、他の部署が貸出用のタブレットを借りに来ることは、窓口のお客様をお待たせすることになり利用されにくい面もありました。やはり目の前にあって、必要な時その場で使えることが大事です。実際、身近にあると利用は増えます。情報推進課の今井氏は、「テレビde通訳」が使えるタブレットを常備する場所を、今後さらにどんどん増やしていきたい意向です。